冬の雪山登山は、厳しい寒さの中で長時間行動するため、適切なアンダーウェア(ベースレイヤー)選びが非常に重要になります。肌に直接触れるアンダーウェアは、汗を吸収し、体をドライに保ち、体温の低下を防ぐという、快適な登山を実現するための土台となる役割を担っています。今回は、雪山・冬山登山に最適なアンダーウェアの選び方を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
適切なアンダーウェアを選ぶことで、寒さによる体力の消耗を抑え、安全で快適な雪山登山を楽しむことができるでしょう。
なぜ雪山・冬山用アンダーウェアが重要なのか

雪山・冬山用のアンダーウェアは、単に体を温めるだけでなく、以下のような重要な役割を果たします。
- 汗の処理: 登山中は汗をかくものですが、汗が肌に残ったままになると、体が冷えて体温が低下する原因となります。吸汗性の高いアンダーウェアは、汗を素早く吸収し、肌をドライに保ちます。
- 速乾性: 吸収した汗を素早く乾燥させることで、汗冷えを防ぎます。特に、休憩中や風に吹かれた際に、速乾性の低いアンダーウェアは体を冷やしてしまう可能性があります。
- 保温性: 薄手でありながらも、適切な保温性を持つアンダーウェアを選ぶことで、寒さから体を守ります。
- 肌触り: 長時間肌に直接触れるため、肌触りの良い素材を選ぶことで、快適性を保ちます。
これらの役割を果たすためには、素材、厚さ、フィット感など、様々な要素を考慮してアンダーウェアを選ぶ必要があります。
雪山・冬山用アンダーウェアの素材

雪山・冬山用のアンダーウェアに使われる主な素材とその特徴を見ていきましょう。
- メリノウール: 天然素材でありながら、高い保温性、吸湿性、速乾性、防臭性を兼ね備えています。汗をかいても冷えにくく、肌触りも良いのが特徴です。冬の登山に最も適した素材の一つと言えるでしょう。
- 商品例: スマートウール(Smartwool) の「メリノ250ベースレイヤークルー」、アイスブレーカー(Icebreaker) の「200 オアシス ロングスリーブクルー」など。
- 化学繊維(ポリエステル、ポリプロピレンなど): 耐久性、速乾性に優れており、汗をかいてもすぐに乾きます。比較的安価なものが多く、普段使いにも適しています。ただし、保温性や吸湿性はメリノウールに劣る場合があります。
- 商品例: モンベル(mont-bell) の「ジオライン® M.W.ラウンドネックシャツ」、ミズノ(MIZUNO) の「ブレスサーモ ライトウェイトクルーネックシャツ」など。
- シルク: 滑らかな肌触りが特徴で、吸湿性にも優れています。単体での保温性はそれほど高くありませんが、インナーレイヤーとして使用することで、保温性を高め、肌の摩擦を軽減する効果が期待できます。
- 商品例: モンベル(mont-bell) の「シルクシームレス Tシャツ」など。
これらの素材の特徴を理解し、自分の肌の特性や登山の目的に合わせて適切な素材を選ぶことが大切です。
アンダーウェアの選び方:素材と厚さ
アンダーウェアを選ぶ際には、素材だけでなく、厚さも重要なポイントとなります。
- 薄手: 比較的温暖な時期や、運動量の多いアクティビティに適しています。汗を素早く吸収し、乾かすことを重視する方に。
- 商品例: スマートウール(Smartwool) の「メリノ150ベースレイヤーショートスリーブ」、モンベル(mont-bell) の「ジオライン® L.W.ラウンドネックシャツ」など。
- 中厚手: 冬の一般的な登山に適した厚さです。保温性と吸汗速乾性のバランスが良いのが特徴です。
- 商品例: アイスブレーカー(Icebreaker) の「200 オアシス ロングスリーブクルー」、モンベル(mont-bell) の「ジオライン® M.W.ラウンドネックシャツ」など。
- 厚手: 厳冬期や標高の高い山域での登山、または寒がりな方におすすめです。高い保温力を持ち、寒さからしっかりと体を守ります。
- 商品例: スマートウール(Smartwool) の「メリノ250ベースレイヤーボトム」、モンベル(mont-bell) の「ジオライン® EXP.ラウンドネックシャツ」など。
登る山の標高、気温、自分の体質などを考慮して、適切な厚さのアンダーウェアを選びましょう。
おすすめの雪山・冬山用アンダーウェア

ここでは、雪山・冬山登山におすすめのアンダーウェアをいくつかご紹介します。(トップスとボトムスをそれぞれ紹介します)
トップス
- スマートウール(Smartwool) メリノ250ベースレイヤークルー: 厚手のメリノウール素材で、高い保温性と快適な着心地が特徴です。厳冬期の登山におすすめです。
- アイスブレーカー(Icebreaker) 200 オアシス ロングスリーブクルー: 中厚手のメリノウール素材で、保温性と通気性のバランスが良いモデルです。幅広いシーンで活躍します。
- モンベル(mont-bell) ジオライン® M.W.ラウンドネックシャツ: 中厚手の化学繊維素材で、高い吸汗速乾性と適度な保温性を備えています。コストパフォーマンスにも優れています。
- ファイントラック(finetrack) メリノスピン®ライト ロングスリーブ: 薄手のメリノウールとポリエステルの混紡素材で、優れた吸汗速乾性と軽量性が特徴です。運動量の多いアクティビティにおすすめです。
ボトムス
- スマートウール(Smartwool) メリノ250ベースレイヤーボトム: 厚手のメリノウール素材で、高い保温性と快適な穿き心地が特徴です。厳冬期の登山におすすめです。
- アイスブレーカー(Icebreaker) 200 オアシス レギンス: 中厚手のメリノウール素材で、保温性と通気性のバランスが良いモデルです。幅広いシーンで活躍します。
- モンベル(mont-bell) ジオライン® M.W.タイツ: 中厚手の化学繊維素材で、高い吸汗速乾性と適度な保温性を備えています。コストパフォーマンスにも優れています。
- ファイントラック(finetrack) メリノスピン®ライト タイツ: 薄手のメリノウールとポリエステルの混紡素材で、優れた吸汗速乾性と軽量性が特徴です。運動量の多いアクティビティにおすすめです。
これらの他にも、様々なメーカーから高性能な雪山・冬山用のアンダーウェアが販売されています。ご自身の体質や好みに合わせて、最適なものを選びましょう。
アンダーウェアを選ぶ際のポイント
アンダーウェアを選ぶ際には、以下の点にも注意しましょう。
- フィット感: 適度なフィット感があり、動きやすいものを選びましょう。締め付けが強すぎると血行が悪くなる可能性があります。
- 縫製: 肌に直接触れるため、縫い目がフラットなものや、縫い目が肌に当たりにくい縫製になっているものを選ぶと、快適性が向上します。
- 丈の長さ: トップスは、重ね着した際に裾が出ない程度の長さがあるものがおすすめです。ボトムスは、登山靴下と重ねた際に、くるぶしが隠れる程度の長さが良いでしょう。
- 機能性: 防臭効果や静電気防止効果など、プラスアルファの機能があると、より快適に着用できます。
アンダーウェアの重ね着について
厳冬期など、特に寒さが厳しい場合は、アンダーウェアを重ね着することで、保温性を高めることができます。薄手のものを2枚重ねるなどして、気温や運動量に合わせて調整すると良いでしょう。
まとめ
雪山・冬山登山を快適に楽しむためには、適切なアンダーウェア選びが非常に重要です。素材、厚さ、フィット感などを考慮し、ご自身の体質や登山の目的に合ったアンダーウェアを選びましょう。今回ご紹介した情報を参考に、最高のアンダーウェアを見つけて、暖かく快適な雪山登山を満喫してください。

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